きっと八郎は、戦場で死んでいくのだろう。
彼が望んだとおりに。
それでも、もうひとつの彼の望みは、虎之助に託されたままだ。

「俺にできなかったことを、やってくれ」

「八郎さん……なんだか俺は、明けない夜を身の内に抱えてしまった気分だよ」

いつか、会える日が来るのだろうか。
虎之助に望みだけを託して、旅立って行った愛しい人たち。
何度も見送り、慟哭することを繰り返して。
死んでいった者の重さだけを抱え続けて。

願わくば。
最期の刹那には、彼らの笑顔に再会できることを。
それだけを望んで、虎之助は、彼らの望みを抱えて、生きていく。
長い長い、幸福な終末を。