そうしてマニュアル作成は驚異的なスピードで進んだ。

オプション部分に関するマニュアルのパーツを作成し終わったとき、壁の時計はまだ7時にもなっていなかった。

なんてことかしら。徹夜する覚悟でいたのに。

あとは、できあがったパーツを、本体の標準マニュアルにはめこんで、目次その他の整合をとれば、それでおしまいだ。

ふと、課長席に目をやると、小湊課長は腕組みして椅子に腰かけ、頭を垂れ、ぐっすりと眠っている。わたしたちの邪魔にならないようにして、しばらくはつき合うから、と言って、居残ってくれたのだ。机の上には、川中さんが作ったマニュアルの発行許可申請書が1枚、ちゃんと印をついてある。

「ありがとうございました。ここまでくれば、もう大丈夫です。あとはわたしひとりでもできますから」

わたしが感謝の意を述べると、四方が顔の前で手をふった。

「いや、とりあえず最後まで森さんに片づけてもらいましょう。友高さんには最終チェックをしていただいたほうがいいと思いますよ」

「でも」