わたしはあせった。

「あっ、課長、そんな。わたしが」

「いいんだいいんだ、友高君。ぼくはこんなことぐらいしか手伝えないんだから」

「ぼくも持ちますから」

四方が横から手を添えて、男ふたりで大きなディスプレイをパーテーションの前の机まで運んだ。

「友高さん、紹介します。こちら、うちの部の森京子さんです」

「ども」

四方から紹介された森さんは、配線しながら、わたしに軽く会釈した。

四方が言っていた応援の人というのが、この森さんということらしい。

「友高です。今日はよろしくお願いします。わたしも配線、手伝いますよ」

「いいのいいの、アタシのかわいいキカイくんなんだから。他の女には触らせたくないの」

「はあ……あの、今日はお忙しいところをありがとうございます。ご迷惑をおかけします」

「ホントよぅ。四方ちゃん? アタシ、今日は合コンに行くはずだったんだからね? ドタキャンしたんだからね? わかってる? これでアタシがお嫁に行きそびれたら、あんた、責任とってくれる?」

「はい、ぼくの愛人でよければいつでも」

「バカ。だれがあんたなんかの」

四方は、アハハハ、と笑った。