そして、5時の終業のチャイムが鳴った。

高木部長兼課長のもとに、特殊機械課のメンバーが集まり、終礼を行なった。

成宮係長とその部下たちも、もちろん参加した。

わたしは少し離れて、邪魔にならないように、立って見ていた。

成宮係長はもうこれで帰らないといけない。

あとは、四方と、わたしと、パソコン操作する人をひとり連れてくるというが、その3人でマニュアルを作らなければならない。

本当にできるのかしら?

わたしは不安でいっぱいになった。

終礼を終えた成宮係長がもどってきた。

「ホントに悪いんだけど、オレ、これで帰らないといけないんだ。まあ、四方がついていれば大丈夫だと思うけど」

「はい、なんとかがんばってみまず。レクチャー、ありがとうございました」

わたしは虚勢を張って、おじぎした。

そう。できないことを嘆いてもしようがないのだ。できることを全力でやるしかない。

わたしは悲壮な決意をした。

そのときだ。

「あー、間に合いましたね」

のんびりした声とともに、四方がもどってきた。