おまけに収入が。

収入面でも、かつてなら500万円以上を求めたものだった。地方都市であるこのあたりでは、その程度あれば、専業主婦でなんとかやっていけると踏んだ。

それが歳をとるにつれ、480万円になり、460万円になり、今ではせめて400万円というギリギリの線まで落としている。

でも目の前の四方末男、わが社のヒラで26歳。残業をうんとしたって、350万円もいくかどうか。

わたしはだんだんと怒りがこみあげてくるのを感じた。

どうしてこのわたしがこんなのに、こんな場所で、プロポーズされなくちゃいけないんだ。

ドンッ!

と、テーブルをこぶしでたたきつけ、ざけんなよッ、と怒鳴りつけてやろうとして。

いや、待てよ。

親友のシミちゃんの言葉を思い出す。

――サエちゃんは、ただでさえ目つきが怖いんだから、気をつけてソフトな表情を作らないとダメだよ。

よくそう言われたものだ。

ちなみにサエというのがわたしの名前。フルネームは友高冴(ともたかさえ)という。

親友の忠告を思い出したわたしは、ゴホンと咳払いして、まず自分の怒りを鎮めた。