3月生まれの恋人


頭痛と気分の悪さを理由に、暫く現実から逃避していると

突然“カチャッ”と扉の開く音がして再び男が姿を現した

いつのまに着替えたのだろう?
ジーンズにグレーのパーカーといういでたちで部屋へ入ってきた男は

驚くあたしを無視してどかりとベッドへ腰を下ろした



ドサッとサイドボードに積まれる・・・あたしの服



『洗って乾燥機かけた』


意外にピシッと畳まれた服に感心・・・って



『え〜〜〜っ?』



驚いて、今一度自分の姿を確認してみる・・・

ブカブカの・・・パジャマ?



『あのっ?あの・・あのっ!』



昨日身に付けていた服の山と、ブカブカパジャマを交互に眺め
泳ぎまくりの目を彼に向けると

彼はあたしの言いたい事に気づいた様子で頭を掻いた。



『あぁ、あまりにもずぶ濡れですげー熱だったから

悪いとは思ったけど着替えさせた』



“別に見てないから”



ご丁寧にそう付け加えてくれるけど・・・

全く見ないでどうやって着替えさせたっていうのよ?!



『嘘ぉっ!!』



あたしは今度こそ、向こう三軒に届きそうな大声を、上げた。