3月生まれの恋人


『振られたばっかなのに、もう気持ちが変わるって

・・・そんなの有り得ないでしょ?』



『いいよ、気長に待つから』



半年つき合っても欲しい言葉をくれなかった和真

なのに、何故だろう?

数日前知り合ったばかりのこの男は、あたしの欲しい言葉をまるで読めるみたいに・・・・



『水瀬侑月さん?

ゆっくりでいいから、俺のこと検討して?』



悪戯っぽく覗き込んでくる彼の目に、あたしの全部が急速に惹かれてくのがわかる

つーっと、一つ、涙がこぼれたとき
背後から、がやがやと子どもたちの声が聞こえてきた



『あ!柊だ!』



拓海くんの声に、彼がちいさく手を挙げる



『シュウ?』



『あぁ、俺の名前。

書いてたろ?書き置きに』


確かに一文字、達筆な文字で柊って書いてあったけど・・・



『あたし、あれ“ヒイラギ”さんって名字なんだと・・・』



『・・・・』