『なん・・・で?』
そこに立って微笑むのは、昨日あたしをそっと抱きしめた男性
『どおして・・?』
車の扉を片手で閉めた彼は、ゆっくりとこちらへと歩いて来て、あたしの前で歩みを止めた
『黙ってるつもりじゃなかったんだけど、君の事は前から知ってた』
驚きのあまり呆然と立ち竦むあたしに、彼が困ったように髪を掻く
『君は拓海のお気に入りだったし、隣に住んでるって解ったときは正直驚いたよ』
運動会で見かけた君が隣の扉から出てくるなんてさ・・・
上から注がれる視線に顔を上げると、昨日と同じ優しい瞳
『まいったよ、本当
一目惚れした甥っ子の先生が、うちの隣に倒れてるんだぜ?』
ほっとけないよ・・・
照れくさそうに口元を隠して、彼が言う
『拓海くんのお兄ちゃんだったの?』
不覚にも歪む、あたしの視界
『兄貴の子だから甥っ子だよ。
ま、例え甥でも渡す気はさらさら無いけどね』
ね・・・・
『二股男なんか止めて俺にしない?』
俺なら絶対泣かさないよ?
自信あるから。
微笑んで首を傾げる姿はちょっとだけ、拓海くんに似てる気がする
『あたし、振られたばっかだよ・・・』
『そいつ、絶対見る目ないから!』

