3月生まれの恋人


2ヶ月前、適当につき合ってた女と別れて以来、女っ気を絶っていた俺


緊急時に頼れると言ったら
・・・悔しいが今、泉しか思い当たらない



『何よ?柊?』



電話ですら黒いオーラを放ちまくる最強の身内は、不機嫌全開で電話をとると、チッと舌打ちをした



『やっと拓海が寝たところなのに何よっ?』



『寝てるの?拓』



『用がないのなら切る!』



『ちょ、ちょっと待った!』



俺は、今の緊急事態を大まかに説明すると
電話の向こうの最強の義姉、泉に真剣に手を合わせた

幸運にも(そう思ったのは本気で初めてだけど)兄貴のマンションはここから歩いて五分ほど。

体が冷えて、どんどん弱っているように見える彼女

ここで泉に断られたら、本当に後がない



『頼む!いくらでも拓海預かるから!』



『・・・それ、本気?』


急にワントーン声が高くなった泉は



『仕方ないから行ってあげる』



と強気に言い放ち、一方的にブツリと電話を切った。

一瞬、恐ろしい契約を交わしてしまったのではないか?と思ったりもしたが

何はともあれ、これで大丈夫だと思うと、俺は心から安堵した。