3月生まれの恋人

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無くした手提げは、セレクトショップの店員さんに無事発見、保管されていて

中にあった鍵も、ようやくあたしの手元へと舞い戻った

鍵を手に、数日ぶりに部屋の前まで戻ってはみたのだけれど

三十七度台の微熱に気づいた彼によって
あたしは半ば強引に彼の部屋へと連行された


当然のようにすっぽりと分厚い毛布を掛けられ、氷枕で冷やされて



『今日はさすがにもう休めないんです』



朝起きて、渋い表情の彼にあたしは言う



『社会人一年生ですから多少の無理は仕方なくて』



体調は正直微妙ではあるけれど、失恋したのが嘘みたいに心は立ち直ってる。

あたしはもう、大丈夫。

多分、目の前で渋い顔をする彼が、どん底のあたしを救ってくれたから



『あの、テレビ、つけていいですか?』



いいよ。と言われてスイッチを入れた。

丁度始まったのは、今日の星占い



『やった!今日は一位だぁ♪』



今日の魚座は絶好調な1日だと
お気楽なナレーションがそう語る



『魚座?』



少しだけ目を見開いた彼が



『誕生日いつ?』



って聞いてくる。



『3月3日。』



『俺2日・・・』



凄い・・・!
互いに顔を見合わせた。


“今日はお互いにラッキーデー?”



そうだといいねと、あたしは彼に微笑んだ