3月生まれの恋人


『あの・・・』



意を決して顔を上げ、彼を見上げる



『あの日あたし、彼へのクリスマスプレゼントを選んでた店で・・・

別の女の子を連れた彼に会ったんです』



『浮気・・・か』



『いえ、わかりません

多分、どちらかというとあっちが本命であたしが浮気相手だったのかも』


多分、あの時

綾香と呼ばれた女性に話しかけられ
あたしは手にしていたネクタイを置いて逃げ出した

あの時までは多分手提げも腕にかけていた筈・・・



あたしを拾った夜からずっと、誠実な態度を崩さなかった彼に
自分も誠実でありたいと思い

あたしは、思い出したく無かった場面をゆっくり噛み締めながら

土曜日の出来事をかいつまんで彼に話した



『じゃあ、そのセレクトショップだと思う?』



『多分』



きっと、間違ってないと思う

届いているかいないかはともかく、あの時無くした以外、考えられない



『ただ・・・
あの場所に・・今、一人で行く勇気が湧かないんです

迷惑は重々承知なんですけど・・・付いて来て貰えませんか?』