3月生まれの恋人


逆らう気力もなく、言われるがまま腰を下ろすと

彼は小さく頷きあたしをじっと見つめた



『とにかく食べて』



目の前に並べられた朝食はどれも皆美味しそうで

あたしはゆっくりとそれに手を伸ばした








『美味しかった!』



昨日失恋したばかりで、何も喉を通らない“筈だった”あたしは

用意された食事をきれいに完食し、

おかわりしたコーヒーを啜りながら言った



『ま、ちゃんと食べられたなら良かったけど』



意外に照れ屋な人なのだろうか?

目があった彼は、いささかぶっきらぼうにそう言うと
空いた皿を重ねてそそくさと片付けを始めた。



お世話になったのだし片付けくらいはと、慌てて席を立ったあたしは

半ば無理やりソファーに押し留められる



『熱!上がったらどーすんの!!』



強い語調と少し上がった眉。

絶対にダメだという彼の意志表示にメゲて、あたしは再びソファーに体を沈めた。