馬鹿みたい。比べたりするなんて。――だって俺の場合は。

 初めから美沙以外の、他の女の子に興味なんてない。反応をする余裕すらない。

 その時すでに、俺の全神経は彼女に関することにしか働かなかったんだ。






「あー。やっぱかわいい」

「は? そうかなー。俺は美樹ちゃんだね」

「いや、それより五組の由香ちゃんだろ」

「お前、あの子出しちゃ誰も適わないだろ?」

「今のところランキング一位だもんなー」

「二位は美樹ちゃんだけどな」

 教室の入り口で含み笑いをしながらひそひそ話す、クラスメイトの男子三人組をすり抜ける。その足取りは、羽のように軽快。

 またやってるよ、と苦笑をしながら思った。よく飽きもせずに毎日そんな会話ができるもんだ。よっぽど他に話すこと無いんだろうな。