その事件っていうのは、きっと、いや、間違いなく…あれだな。



「あの事件のことは知ってるよね?」


「おう」



一呼吸置いて聞いた言葉。



初めは意味がわからなかった。



「未亜ってば、責任感じててさ。あの子のせいじゃないのに。」



責任?
そんなの、当然感じるだろ。


…まさか、知らないのか?



あの日、未亜が琉音を呼び出していたことを…



「って、聞いてる?」



「あ、あぁ。なぁ、あの事件の実際の話、知ってるか?」



「当たり前じゃん。ずばり、…」



それから悲しい顔をして、



「未亜の目の前で楠木琉音は死んだ」と言った。