突然、私の前に何かがきて呼吸がしずらくなった。
ふわっと香る石鹸の香り。
温かく、思わず安心してしまう体温。
一瞬、涙が止まる。
息も止まる。
だって、
それらの条件が、成り立つ人なんて、那音くらいしかいない。
「ごめん。俺、知らなくて。
もっと 早くに知るべきだった。
こんなんで 未亜の彼氏とか…
本当にごめん。」
そう言って、腕に一層 力を入れる那音。
那音が悪いわけじゃないのに…
「そんな、
那音は悪くないよ。
今まで秘密にしてた、私が悪いんだもん。」
那音の背中に腕をまわして、抱きしめ返した。

