そして、数分後。
すんなり井田さんを連れて帰ってくる。
「八木のそのスマートさ。真のイケメンだわ……」
「そんなことないから」
感服の様子の厚木くんに、八木くんは苦笑い。
でも、八木くん本当にすごい……。
あんなに簡単に誘えちゃうなんて。
そのコミュニケーション能力と勇気を見習いたいよ。
「よ、よよよよろしくお願いします!!」
緊張した様子で深々と頭を下げる井田さんに、私は慌てて駆け寄る。
「そ、そんな!頭なんか下げないで!あ、あのっ……こちらこそよろしくね!」
そう言うと、恐る恐る顔を上げた井田さんが眼鏡の奥でふんわりと笑った。
わぁっ!か、可愛いっ!!
「後は、古賀さんかぁ」
厚木くんの言う通り、後は古賀さんが入ってくれればグループは成立。
だけど古賀さんは、自分の席で目をつむったまま微動だにしない。
グループ決めなんてどうでもよさそう……。
「おーい古賀。後はお前だけみたいだぞ。ちょっとは動けー」
私達の様子に気がついたのか、先生が助け舟を出してくれる。
すると古賀さんがゆっくりとまぶたを持ち上げ、私達に視線を移した。
「お?こっちに来るか?」
厚木くんが、私達にだけ聞こえるようそう呟く。
声をかけた方が……いいよね?
だって、私ならきっと“仲間に入れて”なんて言えない。



