“新くんが亡くなってからのありすの顔は目も当てられなかったわ。でも、さっき朔くんを連れて来た時の顔を見て安心した”




ありすのお母さんは嬉しそうに微笑んで、コーヒーを一口飲みカップをソーサーに戻し続ける



“たまたま就職した会社に貴方がいて、また生き生きとした顔が戻ってきて...朔くんに助けられるのは2回目ね。本当にありがとう”




深々と頭を下げられる




“あの...お母さん、僕はまだ何もしてやれていないんです。新と同じ顔って認識されるのが嫌で、上司の権限を振りかざして意地悪なことしかしていません。今日だって無理やり視察に連れ出したんです”




ありすのお母さんの二度の感謝に耐えかねて情けなくも、懺悔を始めてしまった



言葉に出すと本当カッコ悪いもんだな




“でも、彼女を守りたいと思う気持ちはあの頃と...あの頃よりも強くあります。それは許して貰えますか?”



俺が新の弟でも...



“もちろんよ”と向けられた微笑みにほっと息を吐く



“あの子が貴方を選べばの話だけどね”と付け加えられ、苦笑するしかない