あの夏に見たあの町で



確認なんてしなくても、自分と同じ顔だから間違いない




悠貴に先に行ってもらい、6歳の時以来会っていなかった新と近くの喫茶店に入った




久しぶりに見る自分と同じ外見の兄の姿に、当時の記憶も蘇る





お互いの状況報告をしているとそれまで目を合わせてこなかった新が俺の方を見て「再来月に結婚するんだ」と笑顔を見せる




兄だからといつも俺のワガママを許して、譲ってくれていた新



ジジイのところに連れてこられた時、何で新じゃなくて俺なんだって思ったこともあったけど、結局、決めたのは母親だと新を憎むことはなかった




母親と2人で幸せだった?





あの頃の面影が残るその笑顔が懐かしかった





しかし次に新から出てきた言葉に俺は困惑する





「高山ありすって朔の会社の子だろ?友達に紹介されて知り合ったんだけど、ひと目でわかったよ。6歳の時に朔が言ってた女の子」





え?




あの時のあーちゃん?




てか、俺の会社?




まさか...昨日の電話に出た『高山』って...




ひとり頭の中で思考を巡らす






何のご縁か...そのあーちゃんが兄と結婚とは





「へぇ良かったな、おめでとう。あの頃は友達もいなくて寂しそうだったから幸せにしてやれよ」


と新に祝福を述べる