あの夏に見たあの町で



改めて周りを見渡すと部屋の中には家具も小物もなく、部屋の真ん中にキングサイズのベッドがぽつんとあるだけ





“ここは...どこ?”





左手は頭に、右手は頬に、なんとも間抜けな体勢で呟く




昨日着ていた服のままであることから、酔った勢いでの過ちがあったわけではなさそう...






ゆっくりとベッドから下りて、部屋のドアをそぉっと開ける




廊下に出てすぐ左手に玄関があり、正面にもうひとつドア、右手に続く廊下の先にリビングがあるのか光が差し込んでいる




光の方へ足を進め、廊下の突き当たりのドアを開ける





思わず“広っ”と口を出た程のリビングダイニングはテレビとかで良く見るホームパーティーが軽くできてしまう広さに世の女性が憧れるアイランドキッチンまである





南側一面の窓ガラスから光が差し込むそこは電気をつけていなくても充分な明るさなのに、生活感のない殺風景な空間にひとつだけ高そうな大きなL字型のソファが窓に向かって置いてある





その角に脚を伸ばして座り、ノートパソコンを操作する男と目が合った




“やっとお目覚めか”




昨晩、誰よりも飲んでいたはずの専務が昨日とは違うスーツを着てそこにいた




“おはようございます...あの、ここは...”