優しくしたい、なによりも。

 甘やかしたい、ケーキみたいに甘く。

 守りたいとは思わない。

 守られたいと思っていないだろうから。

 茉莉花の横にいる条件は一つ、一緒に待ってくれる存在であればいい。

 それだけなんだ。

 茉莉花はいつもずっと、目覚めるその日を夢見て、迷惑がられてもどんなにひどい言葉で善意を罵られても待ち続ける。

 眠るだけのこの頼りない男の目が開き、心から彼女のことを思い、その声で名前を呼ぶ、それだけで茉莉花は幸せで。

 その為の何日、その為の何十日なんだ。

 ただ、祈るだけの毎日なんだ。