少し伸びた前髪を横に長しながら、棗さんがため息交じりに腰掛ける。

 わかってる。

 本当は全部、何もかも。

 でも、何もわからない顔をして、おバカな声で笑う。

 そうすることでしか、ここにいる術を知らないから。

 答えも何もかも、茉莉花はずっと知らなくていい。

 ただ、ここにいられれば。