同時に2人も好きになった

どちらかなんて選べない

最低…… かな


一回り以上離れた〝 あの人 〟に

オレは夢中になった

〝 キミ 〟がオレに

想いを寄せてるなんて

気づかずに


あの時

少しだけ!?ヤンチャなオレは

ケンカして唇を切った

その唇に

あの人は

優しく薬を塗ってくれた


その指先が唇に触れるだけで

イキそうだった


塗ってくれる

あの人の顔を見ながら

オレの体の一部は

灼熱の砂漠状態


薬が染みて顔を歪めたオレに

ふぅ~ ふぅ~

息とともに唇が近づく

もう とろけそうだよ


そんな

舞い上がるオレを

遠くから

キミが見ていたことも知らずに


火照る うずく

オレの体を

癒すあの人



いつも元気で

笑顔の可愛いキミ


その日に限って

怒ってた


何を聞いても答えてくれない

「知らない!」

しか

言ってくれない


「何だよ! 分かんねぇだろ!」

オレも怒ると

「私の中の事情だから!」

って

オレは溜息吐いて

「ちゃんと分かるように言えよ!」


すると


「君が好き」


今にも泣き出しそうな顔で

キミが言った


ズキューン!


胸を射抜かれた!


大きな衝撃

それも

とても

甘くて切ない

揺さぶり


弾ける 抑制利かない

オレの体を

懸命に受け止める

健気なキミ



2人の女性の狭間で揺れていたオレ



あの人は

オレの

微妙な心境の変化に

瞬時に気づき

気を使い

オレを遠ざけた


好きでいながら

離れることも

愛だなんて

そんな愛し方

切なすぎる


離れていけば

余計

後を追ってしまう


オレは

あの人を追いかけ


キミは

オレを追いかける


そんなキミに

オレは

いい気になって

ないがしろにした


泣きながらオレに



「それでも好き」


というキミに

本気で恋した


でも

キミとの

青い恋は

朱く大人の

愛には実らず

終わってしまったけど



二兎を追う者は一兎をも得ず

誰かが言った



あの頃を



あの人を

追いかけても追いつけない


もう一度

キミを

追いかけても追いつけない


二人は

まるで

逃げ水のような存在だけど


あの指が

この唇に触れた感覚は

まだこの体に刻まれている


胸を射抜いた

あの衝撃は

思い出すと

今も胸が熱くなる


あの人は

キミは

もう

戻りたくても戻れない

時の向こう側だけど


オレを大人にした

かけがえのない青春




お元気ですか…?


あの日のオレ


あの日のあの人


あの日のキミ


オレは相変わらず

あの日のままで


たぶん


元気だよ