舞踏会当日、ジャスティーヌを迎えに来るため、再びアーチボルト伯爵邸に姿を見せたロベルト王子は、前回の眩い程の豪華な出で立ちではなく、しっとりと落ち着いた装いだった。
 ロベルト王子を迎えたジャスティーヌのドレスは、アレクサンドラの時のような保守的な首から手首まで、びっちりと覆うようなドレスではなく、今風の豪奢なドレスだった。
 少し開いた胸元に輝くレース仕立てのネックレースにはダイヤがあしらわれ、豪華さはある物の、ジャスティーヌのおとなしい性格に合わせ、華美に見えないようになっていた。
 アレクサンドラの時のように顔を隠す必要がない事もあり、ジャスティーヌの美しい髪は綺麗に結い上げられていた。
 伯爵夫妻と言葉を交わしている間も、ロベルトの目はジャスティーヌに釘付けで、うなじの後れ毛に香り立つような上品な色気さえ感じていた。
「では、参りましょうかジャスティーヌ」
 ロベルトに名前を呼ばれ、ジャスティーヌの心臓が飛び上がった。
 ロベルトはジャスティーヌの手を取ると、ゆっくりと馬車へと導いた。