「雅人いますかー?…いるはずないよね。あは」

なんて、独り言を言いながら玄関へ入ろうとすると、すぐに何かが目に入った。


えっ…?

目にしたとたん、ドクンと胸が大きな音をたてる。


なにこれ…?女の靴?
そこには真っ赤なハイヒールが無造作に転がっていた。

そして…その横には、見慣れた雅人の靴。


なんで?今日は雅人、仕事じゃなかったの…?

それに、このハイヒールは誰の…?



…………。




嫌な予感がする…。

ううん…でもまさか。

頭に浮かぶ嫌な想像をかき消すように、私は頭を左右に思いっきり振った。


耳を澄ましてみるが、中からは何の音も聞こえない。


胸に手をあて、大きく深呼吸をする。


よし…。

意を決して一歩足を踏み出した。