あ、結人くん達帰るみたい。
みんな立ち上がってコートを着だした。

そして…
私と永久子さんのテーブルの前を通り過ぎる時、結人くんは爽やかな笑顔でこちらに頭を下げてくれた。



キュン。
なんて素敵なんだ結人キュン…。



「さ、私達もそろそろ帰りましょう」

「…そうですね」


もはや私の心の中は結人くんでいっぱい。

…きっと、こういうのが俗に言う一目惚れってやつなのかな?

そうなの?
そうなのかも、しれない…。

まるで初恋のような、季節は冬なのに心に春が来たような…そんなあったかい感覚。


ふふ…うふふふふ。

よーし!
バレンタイン売り場のバイト頑張るぞぉー!


失恋してどん底だった私の前に突然現れた王子様。

野川彩乃、27歳。
人生初、年下男子に一目惚れしちゃいました。