♥バレンタインの奇跡♥

……すると、


「そこの君たち！何やってるんだー！」

その声に、パッと目を開ける。


目の前には今にも結人くんに殴りかかろうとしている金髪男。

そしてその向こう側からは、社員の人達と警備の人達が続々とこちらに駆け付けてくる姿が見えた。


「おい、やべぇよ」

「ちっ！逃げるか」

金髪男が走り出すと、私の腕を掴んでた銀髪男もパッと手を離し、慌てて走り出した。

私と結人くんを追い越し、警備の人達が金髪銀髪コンビを追いかける。


「二人とも大丈夫だった？」

「あ、はい…大丈夫です」

社員の人が立ち止まり、声をかけてくれた。

どうやら騒ぎを目にした人が助けを呼んでくれてたみたい。


結人くんと私の無事を確認すると、社員の人もまた二人を追いかけるのに戻って行った。


ホッとして力が抜ける。

「よかった…」

フラフラとその場に座り込む。


思っていた以上に恐怖だったのか、まだ体が震えてる。