♥バレンタインの奇跡♥

「お前の代わりなんていっぱいいるし」

グサリと胸に突き刺さる。

なに、それ…。


ゆっくりと、何かが音をたてて崩れていく気がした。



「えーじゃあ私は?私はあの女の代わりってことー?」

「違う違う。お前は特別だよ。こいつは次が見つかるまでの繋ぎ。テキトウに付き合ってたのに、こんなめんどくさい女だったとはな」

…っ!!


その時、私の中で何かが弾けた。

気付いた時にはプレゼントに買った香水を箱から取り出し、2人に思いっきり投げつけていた。

香水は2人から外れ壁に命中。
そのまま床に落ち瓶が割れた。
爽やかな香りが一気に部屋中に広がり目眩がする。


「っ…何すんだよ!」

「ほんと何この女…怖っ」

「……うるさい。うるさい、うるさい、うるさいっ!!」

私の声に若干怯んだのかビクリと2人の肩が震える。

いい気味だ。

もう、どうだっていい。
こんな男もこの女も…。

大嫌い。


「香水の匂いに溺れて2人一緒にくたばればいい!!」

吐き捨てるようにそう言うと、私は部屋を飛び出した。