♥バレンタインの奇跡♥

「ちっ」

次に聞こえたのは、雅人の舌打ちだった。


私はゆっくりと顔を上げる。


「お前さ…重いんだよね」

驚くほど冷たい声。


今目の前にいる雅人は、私の好きな雅人じゃない。

私の知らない雅人…。

だけど…それでも私は雅人のことが…。


「ねえ雅人、今まで言ってくれた言葉…全部嘘だったの?」

まるで自ら傷つきにいってるみたいだ。
すがる言葉をあとどれだけ吐き出せば気がすむのだろう。それは自分でもわからない。


どうしたら雅人の心が動くのか…そればかりが頭を支配していた。


だけど、次の瞬間。
雅人が言った言葉は無情なものだった。