「あーチョコレート売ってるー」

「もうすぐバレンタインだもんな」

「うん、雅人にもちゃんと買ってあげるから安心してねー」

「手作りじゃないのかよ」

「あはは、やっぱ手作りがいいのー?」


雅人だ…雅人と、浮気相手の女…あれからあの二人、まだ続いてたんだ。


ぐわんと視界がぐらつき、ふらりとめまいがした。

一度消え去ったはずの怒りと悲しみが一気によみがえり、ぎゅっと胸が締め付けられる。


「彩乃ちゃん、あの人達知り合い?」

「えっ…?」

「随分ジーっと見ているから」

「…っ」

永久子さんには敵わないなぁ…。