♥バレンタインの奇跡♥

「彩乃ちゃん、作戦実行の時間よ」

「あぁ…そうでしたね」

永久子さんの言葉に力なく答える。


「彩乃ちゃん、顔がげっそりしてるわよ」

げっそりにもなるよ…。
凄く忙しいし、結人くんと桃子が話してる姿ずーっと見てて心折れまくりだし…。

あぁーーーー…!


「ほら、早く結人くんのところ行かなきゃ、帰っちゃうわよ?」

「今日はいいですよ…桃子が張り付いてるし、もうダメなんです…今日はきっとダメな日なんです」

自分でも信じられないくらいのダメージを受けてクタクタ…言ってることも意味不明。とにかく疲れすぎてる。


「大丈夫。ほら、今結人くん一人でいるわよ。チャンスよ!」

「え…」

見ると、さっきまで結人くんにべったりだった桃子の姿がない。
もしやもう帰った?まさかのチャンス到来!?

で、でも…いざとなると足が動かない。
情けない…。


私がウジウジ動けずにいると、

「きゃっ!」

いきなり後ろから背中を押された。


驚いて振り向くと、永久子さんが腕を組み、仁王立ちしていた。

ひっ!
その迫力に怯んでしまう。


「は・や・く!」

うぐっ…。
鬼の形相でそう言う永久子さんの圧に押され、私は一目散で結人くんの元へ駆け足で向かった。