やっぱりあのままの関係じゃダメだって咄嗟に部屋を出た私は考えもせず水田くんの部屋の前に立っていた。


どうしよう、来ちゃったけど出てきてくれるかな。


かれこれ5分はここにいる。

インターホンに指を当てては押さずに下ろしての繰り返し。


ダメだちゃんとしろ私!


勇気を振り絞ってインターホンのボタンを押した。


出てきたら何から言おう。


インターホンの音を耳にすると、変に緊張してさっきから心臓がドクドクうるさい。

ちゃんと笑顔で話せるか不安になる。


「はい…あ…」

「こ、こんにちは。」


玄関が開きでてきた水田くんはパジャマにマスク姿。

寝起きなのか寝癖がぴょんとはねてる。

久しぶりってわけでもないのに、気まずくて2人の間に沈黙が続く。


「か、風邪でもひいたの?」


トロントした目のマスク姿の水田くんにやっと出てきた言葉はこれ。

これじゃぎくしゃくしたままだよ…。

自分のおバカさに呆れてくる。