結局理由わかんないままだな…

キスは事実だって判明しただけでどういう意味なのかはわからないまま。

夕日に照らされる校舎の横をとぼとぼと歩く。

隣のグラウンドでは野球部や陸上部の掛け声がひっきりなしに聞こえてくる。


「あ、涼太くん。」


大勢いる中にユニフォーム姿の涼太くんを見つけた。

少し息を切らしながら友達と笑い合ってる。

思いを伝えたあの日以来まともに話してないかも。


フェンス越しに見つめる先の涼太くんは休憩なのかグラウンド横に向かう。

そこには文化祭の時に見た女の子が水筒を持って涼太くんに何かとても楽しそうに話しかけていた。


あの子、サッカー部のマネージャーだったんだ。

涼太くん嬉しそう…。

悔しいけどお似合い。


あの時と同じお団子頭に長袖長ズボンの体操服に身を包んだ女の子。

マネージャーになってたらあの子の場所には私が立ててたかな?


振られちゃったけど、やっぱりキレイさっぱりには諦めるなんてできなくて、心の中で妬んでいる自分がいるのが嫌だった。


このまま見てるとどんどん嫌な自分になってくのがわかったから足早に涼太くんに背を向けて帰路につく。