「おはよう。」


あの後の記憶はあまりハッキリしてない。

朝ベットから起き上がった私に優しく声をかけてくれる水田くんが居た。


「俺…昨日言っちゃダメだって思ってたんだけど、つい幼なじみにあんたが待ってるって言ったんだ。
お節介だったよな。ごめん。」

「ううん。
昨日水田くんのおかげでちゃんと涼太くんに思い伝えれた、ありがとう。」


振られたことは確かに辛くて、寝たところで忘れるようなものじゃない。

だけど、私の気持ち涼太くんに伝えられないまま知られないまま諦める方がずっと辛いと思う。

涼太くんが昔から大好きだった私の気持ちは消えずに残ってる。

だから、涼太くんに言ってくれて良かったのかもしれない。


「ん……これ、今日は動きたくないだろうし、俺がご飯作っといた。」


立ち上がった水田くんはキッチンに向かったかと思うとおもむろに私にお椀を手渡す。

中身はお粥で、真ん中に梅干しがポツンと置かれている。


「私病気じゃないし……」


風邪以外の時にお粥を出されたのは初めてで思わ笑いそうになるのをこらえる。


「笑うなよ。これでも一生懸命やったんだから…。」


少しふてくされたような顔をしてそっぽ向くものだからこみ上げた笑いは我慢の限界に達し思わず声を出して笑ってしまった。


「ありがとう。水田くんのおかげで少し気が楽になった気がする。
いただきます。」


ふてくされた水田くんは少し頬を赤らめ、照れくさそうに一緒に笑ってくれた。

高校に入学してから自炊だった私にとって誰かが作ってくれるご飯なんて久しぶり。

水田くんの作ってくれたお粥は1口食べると心までホカホカしてきて、私を暖める。