気づくと水田くんはどこかに行って、私1人になってた。

盛り上がってるみんなの輪には入れる気がしなくて1人家路につく。

歩いて10分で家に着くはずなのに1時間以上歩いてる気分。


「真奈!」


後からパタパタと走ってくる足音。

懐かしくて大好きな声。

私はこの声をずっと待ってた。


「涼太くん…。」


振り向いたそこには息を切らした大好きな涼太くんが立っていた。


「彼女…いいの?」

「ごめん!ほんっとにごめん。
花火…本当は行くつもりだったんだけど、なつが行かせてくれなくて…」


大きな声で謝るから思わず驚いてしまった。

なつってあの彼女のことかな。


「そしたら水田に最低だって言われてさ、真奈は俺の事待ってるって聞いて追いかけたんだ。」


水田くんお節介すぎるよ。

こんなの泣いちゃう…。


「本当は伝えたい事あったの。」


この想いはもう涼太くんには届かないんだろうけど、せっかく水田くんがくれたチャンス。

重たい口をゆっくりと開いた。


「あのね……私、涼太くんの事小さい頃からずっと好きでした。」


私の言葉を涼太くんは驚くこともなく黙って聞いてくれた。


「俺も真奈の事誰よりもすげぇ大事に思ってる。
真奈が傷ついてると俺まで傷つく。
真奈が喜んでると俺も楽しくなる。

周りの友達なんかよりもずっと大切さな存在だし今だって真奈に告られて嬉しいって思ってる。

だけど、それ以上はどうしても考えられないんだ。

こんな事言うと真奈が泣いてしまうって事くらいわかってんのに、俺最低すぎだよな…。」


なんだ、涼太くんわたしの事嫌いなわけじゃないんだ。

こんなにも私の事思ってるくれてる。