「悪いけど、今日は止めて」


母と会いたいのなら、そうすれば良い。
あの人は私になんの興味もないし、ユウのような芸能人を見て態度を変えるような性格でもない。



「話を聞くことも今日でなくて良いわ」


「勝手な奴だな」


「あなたもね」


良かった、ユウが退いてくれて。


今日は特別な日だから、邪魔されたくない。


6月1日ーー今日は海の誕生日だ。



「明日の撮影後は空けとけよ」


「絶対に話してよね!」


「…おまえ次第だな」


口の端を上げてユウはトイレに入っていった。



嫌な奴だけど、真っ直ぐで。

もしもここにいるのが私でなく海であったなら、どんなに良かったのだろう。


病気になったのが海でなく、私であったのならーーどれほど良かっただろう。