控えめのノックが会議室に響き、私たちは顔を上げた。
「失礼します。はじめまして、椎名雪乃(しいなゆきの)です」
ドアを両手で閉めて深々と腰を折った美人女優の登場に開いた口が塞がらない。
小顔、長い手足、華奢な体型。
現実離れした椎名雪乃は雑誌の何倍も可愛く、美しい。
花柄の丈の短いワンピースから惜しげも無く綺麗な足が覗き、髪をアップしていることから余計に小顔に見える。
「よろしく」
椎名雪乃さんから目を離せない私の横で、ユウは既に視線を台本に戻していた。
「羅依です。宜しくお願いします」
私は立ち上がって同じように頭を下げる。
海とはまた違う魅力をもつ女性。
自分の役を生きてくれる女優が椎名雪乃さんだと知ったら、海は飛び跳ねて喜ぶのかな。


