テレビを通してその笑顔を何度も見た。 世の中の女子を一瞬でトリコにする、甘く優しい微笑み。 「映画は舞台じゃない。何度だってやり直しが利く。大丈夫だよ」 「ユウ……」 「だから、呼び捨てかよ」 白い歯を見せてユウが笑う。 「あ、そのままで!今の顔、今月号の雑誌の表紙と同じです!」 「はあ。見るなよ、俺の顔は商品だぞ」 「お願いします、もう一回!」 「楽しくもないのに笑えるかよ」 そっとユウの手が私から離れた。 離れる瞬間、ギュッと力を込められて。 震えた手はいつの間にか止まっていた。