贈られたブローチをつけて控え室の扉を叩く。


「ユウさん!羅依です」


「今日は早いな」


「失礼します!」


ユウを押し退けて部屋に入り、扉が閉ったことを確認してヘッドフォンを差し出す。


「Ryoが新曲を書き上げたそうです。そして曲のタイトルをユウさんにお願いしたいとのことです



「なんで俺が?」


「とにかく、先に聴いてくださいね」


無理やり彼の頭にヘッドフォンをつける。
既に整えられた髪を乱してしまったから、後で原田さんに謝らないと。


先程操作を教わったばかりの音楽プレーヤーのボタンを押し、溜息交じりのユウの隣りに座る。


「いきますよ」


「ああ」


すっと、ユウが目を閉じる。


Ryoの歌に涙してくれたユウがこの曲を受け入れてくれれば、完璧なのだけど。


美しい横顔を食い入るように見つめる。





しばらくして静かにヘッドフォンを外したユウは小さく頷いた。


「いいんじゃねぇの」


ホッとして肩の力が抜けた。