そして極め付けにははにかんで、


「福井先生が呼んでたぞ」


と、この暑い夏にぴったりな爽やかスマイルをくれた。


ドキッ…。


その笑顔に、私の心は飛び跳ねた。


そう、私は先輩のことが好きなのだ。


***



中2の時、関東大会まで勝ち残った私は大会の気迫に押されて弱気になっていた。

『渚、大丈夫?』


『ゔぅ…。お腹、痛い…』


緊張のあまり、腹痛に悶えていた私はチームメイトにトイレへ行くといってその場を離れた。


そして、応援席から少し離れたところまで来ると壁に背中をつけ、自分の足元を見る。


『はぁ…』


関東大会まで来て、みんなが見ている前でもし結果を出せなかったら…。


そう思うと、よけいにお腹がきりきりと痛んだ。