わたしはなぜか泣かなかった

腹が立った

なぜあのとき、なにも言わなかったのかと後悔した


また手首を切りたくなって誰もいない彫刻科のトイレ目指して走った


「りりかちゃーん」

野宮くんが笑顔で追いかけてきた

わたしはすごい汗をかいて、怒って泣いた後みたいな変な顔で野宮くんを見た


「どうしたの?」

「いや、大丈夫」

わたしは我にかえり、またリストカットしてしまわないですんだ