2年前。

私が中学2年生の頃、2歳年上の大好きな彼氏がいた。

中学1年生の頃、入部した部活に中3の男子の先輩がいて一目惚れをした私は彼が高校1年生になった時やっと勇気を出し告白して付き合うことが出来た。

そして2人で行こうと約束した花火大会。

履きなれない下駄で人混みに飲まれ躓いて道路に飛び出されてしまった私はそのまま車にぶつかりそうになった。

クラクションの音と大好きな先輩の大きな声がやけに鮮明に思い出せる。

そして次の瞬間…目の前の景色は一瞬で残酷な光景に変わっていた…。

ー先輩は私の身体を包み込むように血を流して亡くなっていた。

そう私を庇って先輩は亡くなってしまったのだ…。

「私が…先輩を殺したの!!…蓮くんは私のせいで…それなのに、私は…すっかりその事を忘れていた。なんでこんな大切な悔やんでも悔やみきれないことを…、」

市村くんに抱きしめられながら自分を蔑むようにそう言葉を吐く。

「…三谷…。三谷は悪くない。」

「…そんなわけない!私はー」

「三谷は人を殺したりなんかしてない…。先輩は好きな子を守っていなくなったんだ…好きな子のためなら誰だって自分の命を考えずに身体が動くもんだよ…しょうがないことなんだよ…。」

「それに先輩は、三谷に自分が亡くなったことに対して悔やんで欲しくて三谷を助けたわけじゃないと思う。三谷に変わらず笑って幸せに生きていて欲しくて自分の命を捨ててまで三谷を守って亡くなっていったんだよ…きっと。」


『だから、先輩のためにももう自分を責めないで三谷…』

私の目を真っ直ぐに見つめ君はゆっくりと私の頭を撫でた。

だから…、さっきまで荒だっていた心が自然とほだされていく…。

そして、止まった涙に市村くんは気づくとゆっくりと私の手を引いて道路を渡った。

「約束通り花火見に行くぞ。三谷!」

明るく君は私に言うから。

もう、うじうじすることも出来ず前に進むしかなさそうだ…。

ねぇ、どうして君はいつも私を真っ直ぐに見つめ…ここまで真剣に私と向き合ってくれるの。

すっかり周りが暗くなって周りのものがよく見えなくなる中でただ一つ君に手を引かれ進む道だけは安心して信じて進むことが出来た…。

ありがとう…、市村くん…。