鳴り響くクラクション。

目の前の横断歩道を渡る小さな男の子。

そこへ一直線に進む車…。

咄嗟に身体が動いていた。

誰もがその様子に驚きの表情をして立ちすくむ中、何故か不思議なほど身体は冷静に動いた。

男の子は、向こうの歩道側の近くにいて腕を引っ張るより背中を押してあげた方がいいことが分かる…。

そして、男の子は私の手で背中を押されて歩道へと身を移す…

そして道路に飛び出した私のすぐ横に視線を向ければ…

あぁ…、あのころと同じ光景…車が迫っていた…今度こそは助からない。

ごめんね…市村く…ドンッ！！！

けど、そんな私の身体は男の子と同じように歩道側へと投げ出された。

すぐに後ろを振り向けばそこには急ブレーキをかけて止まった車と…他にはこちらを見る人達…他には誰もいなかった…。

なのに…、なんで？

背中が…、誰かによって押された気がした…。