「ー咲耶！！！！危ないっ！」

ープップー！！！

「…さや…、ごめん…な…」

❀✿

ハッー。

目が覚めた。

鳴り響くクラクション。

力強く引かれた身体。

体を包む彼の感触ー。

全てが全て、リアルで…、

「…はぁ…はぁ…」

頭がクラクラした。

ー私は…、大切な何かを忘れてる…？

背中にかいた冷や汗を生暖かいシャワーのお湯で流せばようやく気持ちが楽になった気がした。

「行ってきます。」

そして、始まる2年ぶりの花火大会…。

友人の浴衣に身を包み、なれない下駄の音を鳴らす。

可愛くヘアアレンジされたミディアムヘアの髪の毛には華やかな髪飾りが付けられゆらゆらと私の動きに合わせて揺れていた。

橋でお母さんの車から降り行き交う人達の邪魔にならないように今は道の隅っこに移動している最中だ。

道の橋に寄って、周りの人たちから奏でられる心地いい下駄の音を耳に市村君が来るのを待っていた。

4時半…少し早すぎたかな…？

そんな浮かれた気持ちでいた。

ープップーー！！！！

突如鳴り響くクラクションの音に…

私はー。