来た、と思った。俺はどうしたらいいかわからなかったが、とりあえずコントローラーを動かす指は止めない。そして画面を見たまま、低い声でこう言った。
「……知ってる」
「へ? なんで」
少し驚いたように茜が聞き返した。
「昼休みだろ。見てた」
「ふーん、そう」
茜はあまりにも投げやりに答えた。そして一瞬押し黙ると、なんとコントローラー投げ出し、俺の方を見た。まだ、ゲームを続いているというのに。
え、と思い俺も画面から目を離す。しかし、すでにゴール寸前に居たマ〇オは、俺が試合を放棄した直後に、勢いでゴールしたようだ。テレビからはマ〇オが勝った時の音楽が流れる。
「負けちゃった」
俺の方を見ながら、小さく笑って言う。なんだかおかしい気がした。茜に俺に勝とうとする意気込みあったようには到底思えない。てゆーか、マ〇オカートを選んだ時点ですでにおかしい。
「負けちゃったって、お前……」
「ねぇ弘人」
俺の言葉を遮るように茜が言った。俺は思わず黙りこくる。すると茜が、少し困ったような瞳で俺に向かって微笑んだ。
「私が直樹と付き合ったら、どうする?」
「……知ってる」
「へ? なんで」
少し驚いたように茜が聞き返した。
「昼休みだろ。見てた」
「ふーん、そう」
茜はあまりにも投げやりに答えた。そして一瞬押し黙ると、なんとコントローラー投げ出し、俺の方を見た。まだ、ゲームを続いているというのに。
え、と思い俺も画面から目を離す。しかし、すでにゴール寸前に居たマ〇オは、俺が試合を放棄した直後に、勢いでゴールしたようだ。テレビからはマ〇オが勝った時の音楽が流れる。
「負けちゃった」
俺の方を見ながら、小さく笑って言う。なんだかおかしい気がした。茜に俺に勝とうとする意気込みあったようには到底思えない。てゆーか、マ〇オカートを選んだ時点ですでにおかしい。
「負けちゃったって、お前……」
「ねぇ弘人」
俺の言葉を遮るように茜が言った。俺は思わず黙りこくる。すると茜が、少し困ったような瞳で俺に向かって微笑んだ。
「私が直樹と付き合ったら、どうする?」



