「もう一度、会った際は私のお友達になること、いいですわね?」

「まだ諦めてなかったのね?」

「ええ。私、この国に来たばかりの頃、貴女に優しくして頂いたわ。
 夜会の作法が分からなくて国に帰りたいと泣いていた私に花をくださって……お世話の仕方が分からなくて枯らしてしまったことを、ずっと謝りたいと思っていたのよ」

「律儀な方」

「私、意地悪な貴女を信じていないわ。あの日、花をくれたエレアノーラ様は私が誰かご存知じゃなかったでしょう? 
 だから本当の貴女が、この国に帰って来る日を心待ちにしているわ」

 些末なことに幸せを見出す彼女が美しい。人を真っ直ぐ愛する様が美しい。

 こんなに血みどろな戦場にも関わらず、咲き誇っている様に、私は感嘆を漏らした。