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「全て話すように言った筈よ。なのにどうして隠すのかしら?」

 私は不満を露わに涼しい顔のフィンに言い放つ。「街に行きましょう」と誘う彼に従えば、にべもなく馬車に押し込まれた。

 驚くメイドに何かを耳打ちした彼は一緒に乗り込むと〝口止め代〟を運転手に渡し馬車を走らせる。車内で着替えを始める彼から視線を外し答えを急かせば、鞄を渡された。

「レイニー様も、お着替えください」

「ちょっと!? 何言ってるのよ!? こんなところで私に着替えをしろと言うの!?」

「ええ。屋敷では着替えられないでしょう。覚悟を決めてください」

「ふざけないでちょうだい! 私、帰るわ!」

 彼が持っていた杖を奪い取り天井を叩く。暫くして停車した馬車から飛び降りると同時に、腕を捕まれ身体が反転した。