「どうして?」

「ちゃんとレイニー様の記憶を持ってるからだ」

「そんなの……」

「訓練すればなんとかなるよ。でもね、それはない」

「なんで?」

「全てが同じ替え玉なんて無理でしょ? それこそ双子でもいない限りね」

「貴族なんだから替え玉くらい……」

「だったら護衛係にそれを隠す理由……待って……一通目の手紙に〝私は君の秘密を知ってる〟的なこと書いてあったよね?」

「ああ」

「それがもしレジスタンスに加担してることじゃなくて〝三年前の性格が変わったこと〟に関してだったら?」

「何が言いたい?」

「ヴェーン家が何かに関わっていたら?」

「何かって?」

「さぁ?」

 真面目な顔から一転、からからと笑い出すベルナール。

 ロビンと顔を見合わせていれば、彼は手紙に目を落として首を捻った。