「数日ぶりだな。あれから英語は勉強してるか?」


挨拶の次には嫌味か。澄ましたやつめ。


「…ええ、もちろん。あの日言われた的確な指摘を真摯に受け止めて励んでますよ」


「そりゃ、光栄だね」


嫌味だよ、この野郎。気づいてるくせに。


「そういえば、まだ名前聞いてなかったな。
俺は3年の岸暁良(キシアキラ)。国際ビジネスキャリア専攻だ。お前は?」


「…尾川凛です。学科は英米語学科。学年は…」


「1年だろ」


「え?なんで…」


「昨日の会話聞いてれば分かる。2年であんな英語話してるやつがいたら耳を疑うね」


「……」


本当に毒を吐くのが上手いやつだ。
得意げなその顔を思いっきり殴ってやりたい。


「そうだ。せっかくこうして会ったんだし、どれだけ上達したのか俺が見てやろうか」


「は?ちょっ、」


「Hey, Rin.
Let's see how much your English proficiency improved in a few days.
(この数日でお前の英語力がどれだけ上達したのか確かめようじゃないか)」


「………」


この嫌味野郎。
澄ました顔でスラスラと喋り始めて。
どうせできないだろ?みたいな顔で挑発してくる。
全く、ムカつくやつだ。


「Would be nice.(いいでしょう)

How can I check it?
(どうやって確かめましょうか)」


「I see…(そうだな)

Oh, I just found a nice guy.
(あぁ、ちょうどいいやつを見つけた)

Rin,Talk to the guy with that glasses over there.
(凛、あそこのメガネの男に話しかけてこい)」


「はっ!?」