私のおやすみに笑い返してくれたリアくんが、隣の部屋のソファーに行こうと立ち上がる。
この家には布団は1つしかないから、彼はソファーで寝てくれているのだ。

立ち上がったリアくんが歩き出す。

その彼の足が、床に置いてあった私のカバンを引っ掻けた。


「…っ!」


バランスを崩したリアくんが、壁に手をつく。

バサバサと音をたてながら、カバンの中身が広がった。


「ごめん!」


焦ったように広がったカバンの中身に手を伸ばすリアくん。

いいよ、と言おうとした瞬間、リアくんの目が大きく見開かれた。

伸ばされた彼の手が、中途半端な高さで固まる。


「……え、これ…」














彼のその青く澄んだ瞳は、アメリカ仕様のパスポートをとらえていた。