「....これは?」
「前に家族旅行で神社へ寄った時に貰ってた御守りです。結構地元だと有名らしくて、悪い気から守ってくれて、同時に持ってる人も癒してくれるらしいです。」
「わ、悪いよこんな。」
「いいんです。私...先輩が辛そうにしてるの見ていられないんです....先輩には元気になってもらいたいんです。
....あ、これ絶対に中身開けないでくださいね?効力切れちゃいますから。」
真帆がニコッと笑うと、悠雅は緊張の糸が切れたのか、フッと笑いをこぼした。
「...ありがとう真帆ちゃん。本当にありがとう。うん、絶対に明日学校行くよ。おもてなし出来なくてごめんね。」
「い、いえいえ!そんなお気遣いなく。じゃあ私、明日学校で待ってますね。」
真帆はそう言うと悠雅の部屋から出ていった。下の階にいた悠雅の母親に状況を説明すると、母親は喜んでいた。
悠雅の家から出た真帆は自分の家に向かって歩く訳でなく、敷地内に入らないようにして悠雅の家の裏手の細道へと足を進めた。
走っている訳では無いのに真帆は息を荒くしていた。まるで禁断の果実を目の前にしてしまったかのような興奮。
真帆はポケットから黒い小型機械を取り出した。イヤホンがぶら下がっている長方形の機械。



